吾唯足知(われただたるをしる)―心静まる、筆先の禅語|書道FAQ

皆さま、こんにちは。書道家の篠原 遙己です。

本日は、「吾唯足知(われ ただ たるを しる)」という言葉について、筆文字を生業とする者としての視点を交えながら、少しお話を綴ってまいります。


「吾唯足知」は、「吾(われ) 唯(ただ) 足(た)るを 知(し)る」と読み下します。

すなわち――
「わたしは、ただ、満ち足りていることを知っている」

この言葉は、京都・龍安寺にある手水鉢(ちょうずばち)に刻まれています。

「龍安寺 吾唯足知 意味」と検索されることも多くありますが、
中央の「口」の字を共有しながら、四方に文字を配するその構造美も含め、古くより人々の心に深く響く禅語のひとつです。

私は、以前に書道の作品制作を通してこの言葉と出会い、「これは、ただの仏教用語に留まらず、生き方そのものを語っているのでは」と、しみじみ感じた記憶があります。


「足るを知る とは何か」と問われたならば、

それは、“足りていない”という感覚を手放し、“いま在るもの”に目を向ける姿勢であると、私は考えています。

書道というものは、常に「うまく書けなかった」「もっと良くしたい」という向上心と隣り合わせです。

けれど、ただ求めるばかりでは、線に余白がなくなってしまいます。

たとえば、お子さまが一生懸命に書いた文字、あるいは心を込めて書いた一文字――

そこに込められた「いまの自分を受け入れる」気持ちは、何よりも美しく、力強く感じられるものです。


改めて「吾唯足知」の意味は、

『ただそこにあることに感謝できる心』だと、私は受け止めています。

この言葉が持つ精神性は、書道と深く通じています。

書の世界では、例えば「ハライが足りない」「バランスが悪い」といった反省は常につきもの。

しかし、それを“足らぬもの”とせず、
「これが今のわたしに書ける精一杯の線」であると受け入れることができたとき――

筆から放たれる線は、まるで静かな呼吸のように、自然と調和を生むのです。


「吾唯足知」という言葉は、作品としても非常に人気の高く、様々な題材として使われています。

  • 書道教室の掛け軸
  • 飲食店の壁面
  • 茶室や和の空間の装飾
  • 海外の方への贈り物 など……

また近年では、手書きの筆文字をデータ化し、ロゴやパッケージに使用されるケースも増えております。

私はPhotoshopやIllustratorなどのAdobeソフトを使って、筆文字をスキャンしデータ化して納品することも可能です。

そのため、たとえば印刷物や名刺、店舗看板などへのご活用をご検討の法人・個人さまにも、柔軟にご対応できます。


「筆ペン 見本」「毛筆 お手本」をお探しの方へ

「吾唯足知」など、好きな言葉を自らの手で書いてみたい、というご要望をいただくこともあります。

その際に、「筆ペンでの見本が欲しい」「毛筆のお手本を見て練習したい」とのお気持ちに寄り添うべく、
当教室では、生徒さまのご要望に応じて、実用書・作品用・筆ペン対応など複数の視点から書道 お手本をご提供しております。

その為、一人ひとりのご希望に応じたお手本を、丁寧にお書きし、お渡しすることを大切にしております。


「足るを知る」ことを、日々の稽古に活かす

鎌倉にて開いております教室でも、「足るを知る」の精神は日々の指導に活きています。

生徒さん達へのアドバイスとして、

「完璧を目指すのも良いですが、100点を目指すのは難しいことが多いです。

今の自分に出来る最大限が出来たら“よくやったね”と自分を褒めてあげる」

うまく書けなかったとしても、それは「うまくいかなかったこと」に自分で気づけた、ということ。

自分の書いたものを客観視し、自ら修正できることは美文字への近道で、

“自分を知る(理解する)”という一歩が、まさに「吾唯足知」の“知”に繋がっているのだと、私は思っています。


私たちは日々、たくさんの情報や様々な選択肢の波に囲まれて暮らしています。

あれもこれも必要に思えて、落ち着く時間もなく駆け抜けてしまう――

そんな現代だからこそ、「吾唯 足るを知る 意味」は、一層深みを帯びて感じられるのではないでしょうか。

手に持つ筆を通して、今、ここに心を置く。

「もう足りているのだ」と思えたその瞬間に、もう一歩先が見えてくるかもしれません。


「吾唯足知」は、決して“あきらめ”をすすめる言葉ではありません。

むしろ、満ち足りていることに気づいたその先に、新しい気づきや創造が生まれる

そのような希望の言葉であると、私は受け止めています。

もしご自身や大切な方への贈り物として、またはご自身の信条を形に残すために、

この言葉を「書」という形で残したいとお考えになられましたら、

どうぞお気軽にご相談くださいませ。

▶ 筆文字作品のご依頼・ご相談はこちら:


本日も、最後までお読みくださり、まことにありがとうございました。

言葉が、そして筆が、皆さまの日々にそっと寄り添えましたら幸いです。

▶生徒さん達へ
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今後のサービス向上に活かしたいと考えております:


当教室は、鎌倉市内だけでなく、逗子市、藤沢市、横浜市などの市外、更には県外からの生徒さんも多く通ってくださっています。
書道教室・習字教室をお探しの方は一度、体験レッスンにいらしてみてください。
子供・大人を問わず、どなたでも大歓迎です。
最後までお読みいただきありがとうございました。

湘南鎌倉市長谷の女流書家:篠原遙己(しのはらようこ)

この記事を書いた人

篠原遙己

鎌倉市長谷にて書道教室を開講しており、人前で自信を持って字を書ける、美文字のコツをお伝えしています。出張レッスン、美文字講座など外部書道講師としてのご依頼も大歓迎です。また、招待状宛名書きなどの筆耕、謝辞・祝辞・入学願書等の代筆、書作品のご依頼も承ります。